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ふぇみんの書評

女たちのベラルーシ 革命、勇気、自由の希求

アリス・ボータ 著 岩井智子、岩井方男 訳

    女たちのベラルーシ 革命、勇気、自由の希求
  • アリス・ボータ 著 岩井智子、岩井方男 訳
  • 春秋社2200円+10%
パワフルな女たちの物語だ。2020年夏、3人の女たちが独裁者ルカシェンコに立ち向かったベラルーシの大統領選挙と、その「不正」に対して非暴力の抗議行動に立ち上がったたくさんの無名の女たち。コロナ禍、パンデミックに無対応の政治に人々は気づき、怒り、連帯が始まる。  スヴェトラーナ・チハノフスカヤは逮捕された夫の代役として急遽立候補を決めた。同様に仲間の立候補を妨害されたヴェロニカとマリアが彼女を支持。3人の姿は選挙のトレードマークになった。大勝利が期待されたが結果は圧倒的な差で敗北、ルカシェンコが票を偽装したと言われている。市民は一斉に反発、デモを制圧する警察の特殊部隊の黒に対抗して、女性たちは白いドレスを着て街頭に出た。スヴェトラーナとヴェロニカは国を逃れ、マリアは刑務所に。  民主化を求める闘いは続く。家父長制社会を打ち破るための飛躍も含め、女たちのエンパワーメントの物語はまだこれからだ。(の)

どうして戦争しちゃいけないの?元イスラエル兵ダニーさんのお話

イ・ラン、スリーク 著 吉良佳奈江 訳

  • どうして戦争しちゃいけないの?元イスラエル兵ダニーさんのお話
  • ダニー・ネフセタイ 著
  • あけび書房1600円+10%
イスラエルに生まれ、徴兵されて空軍で3年働き、その後日本に移住して40年以上の著者。家具製作の傍ら、経験に根づいた反戦・平和論を語り、昨年10月のガザ攻撃以降、講演にひっぱりだこだ。幅広い年代の読者を想定した、著者の〈平和への気づき〉は読みやすい。  戦争で〈どちらが善か悪か〉なんて議論はナンセンス。一度でも武器の存在を肯定したら、泥沼に陥る。〈戦争はビジネスチャンス〉というおぞましさ。そもそもは、100年前の英国の「三枚舌外交」が始まりだ。〈イスラエルは間違っている〉と断言できるまでには、様々な逡巡があったに違いない。  ジャーナリスト・土井敏邦さんとの対談では、国を外から見る視点を持ったことが、「イスラエルの優越意識」という洗脳を解くことになったと語る。軍拡に走る日本に、イスラエルを反面教師として学んでほしいと訴える。(三)

働く女たちの肖像

永澤桂 著

  • 働く女たちの肖像
  • 永澤桂 著
  • 現代書館 2600円+10%
19世紀のフランスでは、近代市民社会・消費文化の進展により賃金労働者が急増したが、貧しい階層の女性が就けたのは、お針子・踊り子・洗濯女・乳母など。低賃金ゆえに売春を副業とするケースも多かった。著者は、「鋭い視線で社会を読み解き、時代の特徴を閉じ込める芸術家たち」の表象から、当時の女性労働者の状況を探る。  ドガは、品定めする男を画面に入れるなど、「現代にも通じる価値観を持つ」とする。ロートレックはキャバレーのスターや娼婦たちに寄り添い、各々の個性を掬い取った。マネは、「現代で言えばインフルエンサー」だった高級娼婦の自信に満ちた視線を受けとめた。  売春を、副業でなく本業とした娼婦たちも多く描かれた。ただ、それらの絵の中の娼婦たちを〈清潔で安心な娼婦〉と〈やる気のない娼婦〉とに著者が分類したことには疑問を感じる。  有名な絵画も、歴史的社会的背景を知れば、これほど別の見方ができることに驚かされた。(葉)
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